「プログラミング教育はエンジニアを目指す子ども達だけのもの」と考える人も少なくありません。しかし、プログラミング教育はそれ以上に多くのメリットを持ち、すべての子どもにとって価値があります。本記事ではその理由を5つの観点から解説します。
コーディングは創造的な表現力を育む
プログラミングは単なる技術ではなく、自分のアイデアを形にする創造的なプロセスです。
絵を描いたり料理をしたりするのと同じように、子どもたちはプログラミングを通じて、何もないところから始めて、何かを完成させることによって得られる満足感、自分の考えを表現する楽しさを得ることができます。たとえば、Scratchのようなビジュアルプログラミング環境では、コードを組み合わせてキャラクターを動かしたり、音楽を作ったりすることができます。これは絵を描いたり料理をしたりするのと同じように、自己表現の一環です。
エンジニアにならなくても、創造的思考を育むための重要な経験となります。
プログラミングはテクノロジーの神秘性を解き明かす
私たちの生活はスマートフォンやインターネットなど、テクノロジーに囲まれています。しかし、その仕組みを知る機会は限られています。
オックスフォード大学の予測では、今後20年間で米国の仕事の47%が完全に自動化されると予測されています。人工知能やIoTの拡大により、労働者が機械に置き換えられるのではないかという不安が高まっています。コンピューターで何ができて何ができないのかを理解することは、こうした不安に対処する上で不可欠です。
プログラミング教育を通じて、子どもたちは「どうしてアプリが動くのか?」「なぜロボットが動くのか?」といった疑問に答えられるようになります。これにより、テクノロジーに対する漠然とした神秘性が解消され、「自分も作れる」という自信と興味が芽生えます。
これからのデジタル社会を生き抜く力を身に付ける第一歩であり、テクノロジーの消費者ではなく創造者に近づくことを意味します。
粘り強さと問題解決能力が育まれる
プログラミングは、うまくいかない試行錯誤の連続です。コードにミスがあるとエラーが発生し、それを修正して動作するまで繰り返し取り組む必要があります。この過程で、子どもたちは「簡単に諦めない粘り強さ」や「問題を分解し、解決策を考える力」を自然に身に付けます。
これらのスキルはプログラミングだけでなく、学業や日常生活、将来のキャリアにも大いに役立ちます。
子どもは考えることで学ぶ
プログラミングは子どもに「考えること」を促します。たとえば、「ロボットをゴールまで動かすにはどうすれば良いか?」という課題を解く際、実際に行動する前に、まず自分が何をしたいのかを一歩ずつ考えることで、学習プロセスが強化されます。
また、子どもたちはゴールに至る手順を計画し、それをコードに変換する必要があります。このプロセス自体が思考力を鍛えるトレーニングとなります。さらに、考えた結果が目に見える形で現れるため、「考えることの面白さ」を実感できるのです。
子どもたちは考えることについて考えることも学ぶ
プログラミングは「メタ認知(=自分が考えていることを認識すること)」を育む手助けもします。コーディング教育の祖、シーモア・パパート氏は「コンピューターに考え方を教えることで、子供たちは自分自身の考え方について探求するようになります。考えることについて考えることで、子供は認識論者になります。」と述べています。
エラーが発生した場合、子どもたちは「どこで間違えたのか」「どうやって修正するのか」を振り返ります。この過程で自分の思考過程を見直す習慣が身に付きます。自分がどのように考えているのかを理解する力は、他の学問や日常生活においても重要です。この「考えることについて考える」力を養うことが、子どもたちの成長に大きく貢献します。
まとめ
エンジニアに興味があるかどうかに関係なく、プログラミング教育は子どもたちに創造力や問題解決能力、そしてテクノロジーへの理解をもたらします。未来を生きるための「考える力」を育むためにも、すべての子どもにプログラミング教育を提供する意義は非常に大きいと言えるでしょう。
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